2017年5月6日土曜日

ダイアローグ・イン・ザ・ダークを初体験

前々から絶対に参加したいと思っていたダイアローグ・イン・ザ・ダーク(DID)。視覚障害者のアテンダントの声を頼りに、何人かのグループで、視覚以外の全感覚を使いながら、真っ暗な暗闇空間で一緒に過ごすイベントです。

 ダイアローグ・イン・ザ・ダークのホームページ

これまで、タイミングがなかなか合わず、参加できていなかったのですが、比較的時間のあるゴールデンウィーク中の今日、お一人さまで参加できるプログラム「一期一会」に参加してきました。下の写真は、DIDの会場への入口です。



定員8名に対して、参加者は7名。全くの見ず知らずの参加者どうし、本名も名乗らず、ニックネームで呼び合い、そのニックネームもなかなか覚えられない、という状態でスタートしました。

まず、薄暗い部屋に入って、参加者は自分の使う白杖を選び、アテンダントから白杖の使い方を学びます。そして、すぐに真っ暗な空間へ入っていきます。

アテンダントの声のする方向や場所を推しはかり、自分の持つ白杖と近くにいる参加者の存在を頼りにしながら、少しずつ前へ進んでいきます。周りは真っ暗で本当に何も見えません。アテンダントの励ましの声、音や匂い、参加者の人間の体のあたたかさを感じながら、徐々に暗闇に放り出された不安が少なくなっていきます。

暗闇の中で、参加者どうしでいくつかのゲームというか遊びのようなことをやり、それが意外に盛り上がったのですが、何をやったかはここではあえて書きません。コースや季節によっても中身が色々変わるようですので、興味のある方は、ぜひ、ご自分でDIDに参加して、体験してみてください。

個人的に、DIDにはずいぶん前から興味を持っていましたし、彼らの活動やそれについて書かれた書物から様々な学びを得てきました。

そうした予備知識が前もって色々入っていたせいか、今回のDID初体験でも、私自身の人生観が変わるほどのインパクトを得たようには感じませんでした。ただ、このDIDのエッセンスをどのように自分の今後の活動に生かせるか、ということを考えていました。

私の福島市のオフィスのある敷地内には、中がほぼ真っ暗になる蔵があります。そこを使って何かできそうな予感がしています。

DIDを行うには物理的な広さや建物の構造、アテンダントの育成など、様々な条件があるでしょうから、そう簡単にどこでもやれるわけではありません。DIDのための適切な場所を探すのも簡単ではないと思われます。

でも、このDIDは一度はすべての人が体験したら良いのではないかと思いました。ささやかな時間ではあっても、日頃、人間としての自分が忘れかけていた何かをきっと思い出すことができるひとときになり、それをふとした機会に思い出すのではないかと思います。

そして、もうすでに取り組まれているのかもしれませんが、外国人留学生とかインバウンドで外国から来る観光客の方も、気軽に体験できるといいなと思いました(たとえば、東京観光ツアーの中にオプショナルとして組み入れるとか)。そんな参加者のなかから、自分たちの国でもやってみたいと思う人が出てこないとも限りません。彼らと一緒に外国語プログラムを検討してみることもできるかもしれません。たとえば、今、宗教的なものを見た目で判断しがちなインドネシアに導入できないかな、とも思いました。

DIDは進化し続けます。今年になって、高齢者をアテンダントとした対話プログラム「ダイアローグ・ウィズ・タイム」、聴覚障害者をアテンダントとした対話プログラム「ダイアローグ・イン・サイレンス」を開始しています。こちらの今後の展開も大いに注目されます。

大事なことは「ダイアローグ」です。勝ち負けを重視するディベートではなく、勝ち負けにつながりがちなディスカッション(議論)でもなく、すべての話者が互いを尊重して気づきやインスピレーションが促されるダイアローグ(対話)こそが、これから益々重要になってくると確信します。私の活動でも、このダイアローグを最重視していきます。

ともかく、今日、DIDを初めて体験できて、ようやく本当にDIDのサポーターになれたような気分です。ぜひ、皆さんもご自分で体験されて、ダイアローグの力を感じ取っていただければと思います。

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